心に残る英会話 ”There are some things money can’t buy.”
“There are some things money can’t buy.(お金では買えないものがある…)”
昔あるクレジットカード会社でこのような宣伝文句が使われていましたので、ご存知の方もいるかもしれません。
私にはこれを実感した出来事があります。
あれは数年前の事でした。当時の私は出費を極力抑えなければならず、バスの乗車代さえ考えるほどでした。
ある日、私が脳梗塞で半身麻痺になり車いすになった母を、娘とリハビリ病院に連れて行った帰り道、ふとこんな言葉が口に出ました。
「ママ、何かお昼を食べに行こうか。」
(えっ、そ、そんなお金の余裕…あるの )と、言った瞬間にそう感じました。
でも車いすになってから一人で自由に出かける事が出来なくなった母。その母に何か…という気持ちが強かったのだと思います。
母に美味しいものをご馳走したい。
”懐”が寂しいこと以上に、そう強く感じました。
母と娘を連れて行ったのは、京料理のお店でした。
母が健康だった頃、節目ごとに私を連れていってくれた思い出のお店です。
母、私、娘の女3代でテーブルを囲み、和やかに時が流れていきました。
そして…それが母との最後の外食になりました。
あの時、「お金に余裕がない事」と「これは大切なこと」との間で、私自身の中で正しい選択が出来て良かった。
あの時3人で過ごした静かな時間は、今でも私の心の中に温かく存在しています。
“There are some things money can’t buy.(お金では買えないものがある…)”
その言葉の意味を、つくづく感じた出来事でした。