「第3話 アメリカで、悔しさの下積み時代」
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第3話
「アメリカで、悔しさの下積み時代」
日本人女性として初めてUSLPGAインストラクター資格を取得し、アメリカの大学院も無事卒業。そして晴れてアメリカでゴルフ場に勤務することも出来ました。
でもゴルフの現場は、日本人初とか学歴なんて関係がない、経験・実力がものをいう世界です。
新米の私は、朝から晩までボール拾い、ゴルフカート出し、ゴルフクラブ洗い・・・。毎日その繰り返し。時給は中学、高校生のアルバイトと同額。唯一の高収入源のレッスンは、ネイティブの同僚に持っていかれてしまう。英語も流暢でない、レッスン経験だって少ない私に声などかからないのです・・・。
「何のために大学院まで行ったのだろう。」
悔しかったですし、悶々としました。たま~に奇跡のようにレッスンが入っても「同情心から私を指名してくれたんだ」と相当のひねくれ、いじけ状態でした。 同業者の主人がどんなになだめても、心はギスギス、カチンカチン。
私の大切な相談者・主人のジェフと
そんなある日、教育者の友人が私にこのようなことを尋ねてきました。
「ヒロコさん、指導者のゴールデンルールに『あなたは私の推薦状です』という言葉のがあるをご存知ですか?」
推薦状? クチコミが大切ってことかしら…と思い、そう答えると友人は優しく微笑んでこう教えてくれました。
「『私は指導者として、あなた(お客様)を一生懸命上手にする。上達したあなたを見て、周りの人はどうやってそんなに上手くなったのと聞いてくるでしょう。例えあなたが私の指導を受けている事を一言も話さなくても…』という意味なのですよ。指導者がすべきことは、目の前にいる生徒さん(お客様)を一心不乱で上手にする。それのみなんですよ。」
目から鱗が落ちる思いでした。私はレッスンをとってくれるお客さんには目を向けず、周りを羨ましがってばかりいた。私がすべき事は目の前の生徒さんを上手にすることだったのに・・・。
よし、自分の生徒さんを一生懸命上手にしよう。
それ以来、目から梁がとれたかのように、お客様の指導に力を入れました。ネイティブのような発音は出来ないけれど、日本人ならではの細やかな接客で、私らしさを表現していきました。そしてレッスンも少しずつ増えていきました。「あなたは私の推薦状」私の悔しい下積み時代を救ってくれた言葉です。
最後までお読み下さり有難うございました。